大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和39年(ワ)1369号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、原告等主張の日時及び場所において、原告登が同とめ(登の妻)を同乗させて運転していた被害車と、被告の雇人である訴外影岡の運転する被告所有の加害車<編注―小型四輪貨物自動車>とが衝突し、原告等が負傷したことは、当事者間に争いがない。<中略>

二、そこで、被告の責任につき判断する。

<証拠>によれば、訴外影岡は自動車の運転免許を受けていないが、被告の自動車の鍵に対する保管が不十分だつたため、これまでにも時々被告所有の自動車を運転していたものであるが、本件事故当日も、加害車を被告に無断で運転し、岐阜市の被告方工場から愛知県知多郡の取引先へ製品を運搬しての帰路において、本件事故を惹起したものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。

ところで、自動車損害賠償保障法第三条にいわゆる「その運行によつて」とは、当該運行が客観的、外形的に見て当該自動車の保有者の支配の範囲に属すると認め得る場合を言うものと解するのが相当であるところ、右認定事実によれば、本件運行は、被告の従業員である訴外影岡が、被告に無断であつたとはいえ、被告の工場の製品を取引先まで運搬しての帰途であり、また被告は日頃自動車の鍵の保管を怠つていたため、訴外影岡はこれまでにも被告所有の自動車を時々運転していたものであるから、本件運行は被告の支配下にあつたものというべきである。

そうとすれば、被告は、自動車損害賠償保障法第三条但書の各免責事由につき、なんらの主張、立証もなさないので、被告は本件事故により原告等が被つた損害を賠償すべき義務があることは、明らかである。(山口正夫 可知鴻平 寺本栄一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!